糖尿病性網膜症

目の網膜は、外界から光を受けて脳に伝達する部分です。糖尿病性網膜症の診断は眼底検査で行います。黒目の部分から奥にある網膜の状態を見る検査で、記録として写真撮影を行います。

糖尿病性網膜症は重傷度に応じて単純型、前増殖型、増殖型に分類されます。高血糖の状態が続くと網膜の細い血管が障害され、血管が破れて出血(眼底出血)します(単純型)。

また、網膜の神経障害や血流障害が現れてきます(前増殖型)。網膜自体の血流が悪くなると、新しい血管を作ることでそれを補おうとしますが、この新生血管は破れやすく、硝子体出血や網膜を引っ張ることで失明の原因となります(増殖型)。
成人中途失明の原因の第1位は、この糖尿病性網膜症によるものです。

そのほかに糖尿病が原因となる目の病気としては、目のレンズである水晶体が濁って視力低下を起こす白内障、見える範囲が挟まる緑内障などがあります。

糖尿病性腎症

体の中の不要物は血液によって腎臓に運ばれて濾過されて、水と混ぜて尿として排泄されます。しかし、腎臓に糖分が多い血液に長年さらされ、腎臓内の細い血管が硬く狭くなると、この濾過作用が十分に作用しなくなります。

その結果、体に必要なたんぱく質が尿に漏れ出てしまい、尿検査をすると微量アルブミンの量が増えてきます。アルブミンはたんぱく質の1つで、早期の腎臓障害を調べるには、尿中の微量アルブミン量を調べる検査が有用です。多量のたんぱくが尿から失われると、体内のたんぱく量が減少していきます。

たんぱくなど必要な物質が尿中に漏れ出てしまう一方で、不必要な老廃物は腎臓から排出されず、体内に残ってしまいます。血液検査で尿素窒素(BUN)あるいはクレアチニンという項目がこの老廃物に相当し、その量を調べることで腎臓の機能を知ることができます。

ただし、これらの値は腎臓機能が半減しないと異常値を示しません。そこで、シスタチンCクレアチニン・クリアランスなど、さらに詳しい項目を検査することによって、濾過機能がどれだけ残っているかをチェックする必要があります。
腎臓の機能が低下するにつれて、むくみや食欲低下、だるさ、貧血、意識低下などの症状が徐々に現れてきます。

クレアチニンが8mg/dli以上で人工透析へ
クレアチニンが8mg/dl以上になると、強制的に老廃物を体外に排泄させなければ習い事態といえます。この方法が人工透析です。毎年、糖尿病が原因で人工透析を受け始める人は13000にものぼります。

人口透析になると、1回4時間・週3回の治療を生涯受け続けなくてはなりません。糖尿病性腎症を起こさないための最大のポイントは血糖値のコントロールにあります。ヘモグロビンA1cが6.5%以下になるようにしましょう。

糖尿病性神経障害

血糖値が高い状態が続くと、手や足などの比較的細い神経や自律神経に障害が起こります。これは、高血糖によって神経がむくんだり、高血糖で変性したたんぱく質がくっついたり、神経に栄養を供給する毛細血管が詰まって神経が部分的に死滅するために発症すると考えられています。

手足などの末梢神経に障害があると、指先の違和感、足底に紙が張り付いたような感じ、正座した後のようなしびれといった自覚症状が現れます。症状は通常、足先から左右対称に現れ、夜間のほうが強くなります。
病状が進行すると神経が死滅して逆に何も感じなくなり、症状が改善したと錯覚することがあるので、注意が必要です。

自律神経は心臓をうこかす回数を増やす、血管を収縮させるなど、自分の意思では調節できない、しかし生きていくためには欠かせない働きをする神経です。
高血糖によって自律神経の働きが侵されると、脳貧血、インポテンツ(勃起障害)、胃腸の運動、排尿障害などが起こります。神経障害を調べるための検査は以下の通りです。

末梢神経伝導速度
末梢神経による刺激の伝わる速度を測定する検査です。神経障害になると刺激の伝わり方が遅くなります。

呼吸心拍変動係数
自律神経の働きを調べる検査です。安静時と深呼吸をしたときの脈拍の感覚の変動を調べます。自律神経に障害が起きると深呼吸時の変動が減少します。/p>

糖尿病の自覚症状(頻尿、喉の渇き、体重減少)

糖尿病は自覚症状が出にくいとされおり、放置しがちになりますが、長期間にわたって高血糖の状態が続くと、腎臓で糖を再吸収できなくなり、尿に糖が漏れ出てきます(尿糖試験陽性)。
その結果、尿が濃くなり、その分を薄めるために水分が尿にとられてしまうので、尿量が増加し、排尿回数も増えます。また、体外に水分が出てしまっているので、のどが乾きやすくなります。

インスリン抵抗性があると、血液中のブドウ糖が十分であっても、それをエネルギー源として効率よく細胞に取り込むことができません。その結果、代用エネルギーとして体内に貯蔵されている脂肪やたんぱく質を消費するので、筋肉がやせ衰えて体重は減少してしまいます。

血糖値が600mg/dl以上の異常高値の人は、糖尿病性昏睡を起こす恐れれがあり、命を落とすケースすら考えられます。糖尿病でこれらの自覚症状が現れたときは、糖尿病がかなり進行している状態であるといえます。そうならないためには、健康診断で血糖検査を受けることが大切です。