血糖コントロールを調べる検査

血糖値は食事のたびに時間ごとに変動しているため、長い目で見て血糖が安定した状態にあるのか、つまりコントロールがよいかを、1回の血糖値のみで判断するのは限界があります。
そこで、コントロール状態を知るための検査法が開発されてきました。これらはいずれも、空腹時に採血しなくてもよいという利点があります。

ヘモグロビンA1c(HbA1c)
過去1〜2ヶ月の血糖コントロール状態を表わします。ヘモグロビンA1cはブドウ糖が結合したヘモグロビンのことをいい、高血糖が続くとその割合が増加します。
通常は血糖状態に比例しますが、ほかの要因でみかけ上高め、あるいは低めに出ることがあるので、判定には注意が必要です。

グリコアルブミン
過去2〜8週間の血糖コントロール状態を表わします。グリコアルブミンはブドウ糖が結合したアルブミンのことをいい、高血糖が続くとその割合が増加します。
基準範囲は12.3〜16.5%。血糖安定時はヘモグロビンA1cの約3倍の値になります。

1,5-AG
1,5-AGは主に食物中から摂取され、腎臓から排泄されます。尿等の排泄増加に比例するため、ほかの検査項目とは異なり、糖尿病では血液中の1,5-AGは減少します。基準値14μg/ml以上です。

糖尿病の検査の種類

血糖検査(空腹時血糖値)
空腹時の血糖値を調べる検査で、基準値は110mg/dl未満(早期空腹時)です。血糖値は食事により上昇するので、最後に食事をしてから10時間以上立った空腹の状態で血液県あすぉ行い、判定します。

ブドウ糖負荷試験(食事後2時間血糖値)
空腹時血糖値も大切ですが、糖尿病の病態である「インスリン分泌不全」や「インスリン抵抗性」をみるには、血糖値が上昇した際にインスリンがきちんと分泌されて、血糖値が高いままにならないよう機能しているかチェックする必要があります。そのための検査がブドウ糖負荷試験です。

75gのブドウ糖溶液を飲む前、飲んで30分後、60分後、2時間後に血糖値とインスリン量を測定するもので、経口糖負荷試験ともいいます。最近では、空腹時血糖値が正常でも、食後血糖値あるいはブドウ糖負荷試験2時間後血糖値が高い場合は、動脈硬化が進行しやすいことがあります。

尿糖検査
尿の中に試験紙を浸し、試験紙に含まれる物質と尿中に存在するブドウ糖の反応具合をみることで、尿中のブドウ糖量を調べる検査が尿糖検査です。陰性(-)、疑陽性(±)、陽性(1+)(2+)(3+)で表示します。

血糖値が160mg/dl以上になると、腎臓から糖が排出されるため、尿にまでブドウ糖があふれ出て、疑陽性や陽性を示してきます。つまり、血糖値が160mg/dlになるまでは尿検査では陰性という結果が出るので、陰性だからといって安心はできません。

なお、血糖値が110mg/dlを少し超える程度でも尿糖が陽性(1+以上)になる腎性糖尿という病気がありますが、これは尿糖に糖が出やすい体質ですので心配はありません。

高脂血症の検査と診断

一時検査(スクリーニング)
動脈効果の原因となる高脂血症の診断には、コレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)を測定するのが基本です。コレステロールの値が高ければ高コレステロール血症、中性脂肪の値が高ければ、高トリグリセリド血症です。

1.コレステロールの検査
総コレステロールの値が220mg/dl以上、LDLコレステロールの値が140mg/dl以上であれば、高コレステロール血症とされます。HDLコレステロールが40mg/dl未満なら、動脈硬化症の危険信号です。

2.中性脂肪の検査
中性脂肪の値が150mg/dl以上であれば、高トリグリセリド血症とされます。

二次検査・精密検査
高脂血症には、体質や遺伝による原発性と、ほかの病気にともなう続発性があります。続発性の原因には、糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患、肥満、肝臓病などがあります。

原発性にはT〜X型があり、リポたん白やアポたん白を測定して調べます。総コレステロールが300mg/dl以上はU型の家族性コレステロール血症が多いとされています。

合併症の検査では、動脈硬化性疾患がないか調べるため、胸部X線、心電図、血圧測定などを行います。

1,5AG(1,5アンヒドログルシトール)

1,5AGはブドウ糖と同じく、糖の一種です。尿糖が増加すると、1,5AGも同時に尿中へ多量に排泄され、その結果1,5AGの尿中濃度は急激に低下します。尿等の変化を鋭敏に反映するので、軽症糖尿病のごく最近の血糖変動の把握に優れています。

1,5AGの基準値
14〜39μg/ml

血糖コントロールの不良症例やインスリン依存型糖尿病では、低値が持続するので、測定の意味は少ないとされています。

グリコヘモグロビンA1C

過去1〜2ヶ月間の血糖の、平均的な状態を調べる検査です。グリコヘモグロビンは、血液中のブドウ糖(グルコース)とヘモグロビンが結びついたものです。

血糖値は、検査をするタイミングによって変動しますが、グリコヘモグロビン値は食事などの影響を受けないため、糖尿病のコントロール状態が適正かどうかを知ることができます。そのほか、グリコアルブミン、1.5AG検査などもあります。

グリコヘモグロビンA1Cの基準値
4.3〜5.8%。この検査数値は、治療効果の程度を知る手がかりにもなります。日本糖尿病学会のガイドラインでは、5.8未満を「優」、5.8〜6.5未満を「良」、6.5〜7.0未満を「可(不十分)」、7.0〜8.0未満を「可(不良)」、8.0以上を「不可」とする、としています。

グリコヘモグロビンの数値は、基本的に血糖の状態を忠実に反映しています。しかし異常ヘモグロビン血症があったり、糖尿病病態の急激な変化や出血、溶血性貧血、肝硬変、人工透析の影響を受けたりしていると、数値が現状を正確に表わしていないことがあります。

尿酸値

尿酸は、細胞が壊れたり再生したりする際に生まれる物質で、細胞内の核酸の成分であるプリン体が分解した後に残ったものです。プリン体は、魚介類、肉類、ビールなどの食品にも含まれています。

尿酸の基準値
男性:3.1〜6.9mg/dl 女性:2.5〜5.4mg/dlです。女性の数値が低いのは、ホルモンの関係によるものです。尿酸値が高くなるケースは圧倒的に男性が多く女性にはあまりみられません。
基準値の上限を上回ると高尿酸血症となります。放置すると尿酸が結晶化して、腎臓や尿路、関節などに蓄積し、関節に激痛が起こる痛風を誘発します。

尿酸値を高くする原因のなかには、腎不全や腫瘍性疾患などの重大な病気も含まれています。また、高尿酸血症では、各種の生活習慣病や血管系の病気を併発していることがあるので、痛風が起きていなくても、高尿酸血症と診断されたときは、精密な検査を受けましょう。

糖負荷試験(OGTT)

血糖値が基準値よりやや高かった場合に、それが糖尿病によるものかどうかを判定するための検査です。まず空腹時の血糖値を調べ、そのあと75グラムのブドウ糖水溶液を飲んで、2時間で血糖値がどのように変化するかを調べます。

糖尿病型と判定された場合は、別の日に確認の検査を行います。その結果。次のいずれかに該当し、糖尿病がであることが再確認されたときに、はじめて糖尿病と診断されます。

  • 早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上
  • 糖負荷試験(OGTT)での2時間値が200mg/dl以上
  • 随時血糖値が200mg/dl以上

ただし、1回目の検査で糖尿病型と判定され、1.糖尿病に督郵の症状が既に出ている、2.グリコヘモグロビンA1cが6.5%以上である、3.はっきりとした糖尿病網膜症が認められてる、4.これまでに糖尿病型を示した確実な検査結果がある、という状況がそろっていれば、その時点で糖尿病であると判断できます。

境界型と判定された場合は、まだ糖尿病になっていないとはいえ、血糖値が高いのは事実ですから、放置すれば動脈硬化を促進します。それを防ぐために、食事のエネルギーをコントロールし、適度な運動を続けるようにします。

血糖値検査

血糖とは、血液中のブドウ糖のことです。ブドウ糖は、全身のエネルギー源になります。血糖の濃度は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって、一定範囲にコントロールされています。
このインスリンの分泌量が減少したり、働きが不十分になったりすると、血糖の濃度(血糖値)が上昇します。

血糖値の基準値
空腹時で70〜109mg/dl。食後でも、正常なら160mg/dl未満です。空腹時血糖値が126mg/dl以上(食後血糖値が160mg/dl以上)の場合は、糖尿病などの内分泌・代謝性疾患や、膵臓疾患が疑われます。
血糖値が基準値より低い場合は、インスリノーマ(インスリンが過剰に分泌される病気)が考えられます。

血糖値は、食事との関係や、日常の体の使い方によって、大きく変動します。そのため、この検査を一度行っただけで、診断に結びつけることはありません。血糖値が異常値を示した場合は、糖負荷試験などを実施します。

中性脂肪(トリグリセリド)

中性脂肪は、体のエネルギー源として蓄えられているもので、生命維持にとって重要な役割を果たしています。また、皮下脂肪を形成して、外部からの衝撃を和らげて内臓を保護したり、体温を維持するはたらきもしています。

しかし、中性脂肪が過剰になると、皮下だけでなく内臓にも脂肪が蓄積して、肥満を助長します。内臓脂肪型肥満は、さまざまな生活習慣病を誘発します。
また、血液中に中性脂肪が増えると、相対的に善玉のHDLコレステロールが減って、動脈硬化を引き起こすリスクが高まることがわかっています。

中性脂肪(トリグリセリド)の基準値
30〜149mg/dl。150〜299mg/dlが「要注意」の範囲で、それ以上になると積極的な治療が必要になります。高値の場合は、内臓脂肪蓄積型肥満、家族性高脂血症などが疑われます。
数値が基準値より低い場合は、低栄養のほか、肝臓機能や低βリポたんぱく血症などが考えられます。

肥満には、中性脂肪が小腸範囲に蓄積する内臓脂肪型肥満と、皮膚直下に蓄積する皮下脂肪型肥満があります。内臓脂肪型肥満は、糖尿病高脂血症高血圧などの生活習慣病をともなうことが多いので要注意です。

HDLコレステロール

HDLコレステロールは、血液中を流れて、細胞や血管内にたまった余分なコレステロールを回収するはたらきをしていることから「善玉コレステロール」といわれています。総コレステロール値が高めでも、HDLコレステロール値が高ければ、心配ありません。

HDLコレステロールの基準値
40mg/dl以上。40mg/dl未満の場合は、肥満や糖尿病、運動不足、喫煙習慣による場合が多く、動脈硬化を引き起こす確率が高くなります。
逆に、HDLコレステロールが異常に高く、100mg/dlを越えるケースもありますが、これは遺伝的なものと考えられます。その場合は、必ずしも血管障害をもたらすとはいえないため、治療すべきかどうかは、医師によって意見が分かれます。

LDLコレステロール

血液中を流れて、体の隅々にコレステロールを運ぶ役目をしています。体にとって欠かせない脂質ですが、血液中にLDLコレステロールが増えすぎると、血管壁に蓄積して内腔を狭め、動脈硬化を促進して、心筋梗塞脳梗塞を引き起こします。そのため「悪玉コレステロール」と呼ばれています。

ただし、LDLコレステロールそのものが悪玉というわけではありません。血管内壁に蓄積したLDLが活性酸素と結びついて変質した「酸化LDLコレステロール」が、真の悪玉であることが明らかにされています。

LDLコレステロールの基準値
70〜139mg/dl。一般的な健康診断では、LDLコレステロール値を測定することはありませんが、『総コレステロール-(中性脂肪÷5)-HDLコレステロール』の算式で求めることができます。
検査数値が異常に高い場合は、糖尿病、甲状腺機能低下症などとの関連が考えられ、原因を特定するための検査が必要になります。

改善法
コレステロールの多い動物性脂肪、とくに温室で固形を保つラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、バターなどの取りすぎに注意します。卵も高コレステロール食品ですから、1日1個くらいにしましょう。
肉類を食べるときは、食物繊維の多い野菜類をたっぷりとるようにします。食物繊維には、コレステロールの吸収を抑えるはたらきがあるからです。

総コレステロールの検査

血液中には、コレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸、リン脂質という、4タイプの脂質が流れています。これらの脂質が増えて正常範囲を超えた状態が高脂血症です。高脂血症のうち、コレステロールの量が多いものを高コレステロール血症といいます。

コレステロールは、細胞膜の成分であり、胆汁やホルモンの材料にもなる大切な脂質です。コレステロールは、おもに肝臓で合成され、また食事からも補給されています。

私たちの体には、コレステロールの量を調節する機能が備わっているのですが、何らかの原因でその機能が低下したり、コレステロールが作られやすい生活をしていると、血管内にコレステロールが蓄積して動脈硬化を形成し、血管障害を起こしやすくなります。

総コレステロールの基準値
120〜219mg/dl。基準値の上限を超えて259mg/dlまでが要注意の範囲で、さらに超えると、薬物療法が必要になってきます。
コレステロール値を高くする原因に、肥満、家族性高脂血症、糖尿病甲状腺機能低下症などがあげられます。
逆に低い場合は、肝臓障害、栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症などがあげられます。

注意点
コレステロールには、LDL(悪玉)やHDL(善玉)などがあります。総コレステロール値は、それらの合計を意味しています。ですから、総コレステロール価が高い場合は、LDLが多いためにあがっているのか、HDLが多いためにあがっているのかを見極める必要があります。